犬がフィラリアに感染した時の症状と適切な予防方法
こんにちは。大垣南どうぶつ病院の早崎です。
開花の知らせも届き、いよいよ春の訪れを感じる頃になりました。
暖かくなるにつれて飼い主さんがまず心配になるのはフィラリア・ノミ・ダニ・マダニ対策ですよね。みなさん予防の準備は出来ていますか?
今日はまず、フィラリア対策の基本をまとめてみましたので、みなさん一緒に勉強して正しい知識を身に付けましょう!
犬のフィラリア症とは
別名「犬糸状虫症(いぬしじょうちゅうしょう)」と呼ばれ、白く細長いそうめん状のフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫の感染によって起こる病気です。
治療が遅れると心臓病の症状が現れるようになり、最悪、死に至ることもあります。
犬のフィラリア感染経路
犬糸状虫は基本的に蚊を介して犬の体内に入ってきます。犬糸状虫に犬が感染すると、犬糸状虫の仔虫であるミクロフィラリアが犬の体内で繁殖します。
蚊がその感染した犬を吸血すると同時にミクロフィラリアも一緒に吸い上げた後、蚊の体内に入ったミクロフィラリアは2週間程かけて感染仔虫にまで成長します。この蚊がまた別の犬を刺した時に、犬の皮膚から体内に移動し、体内で成虫となり犬の心臓や肺動脈といった血管に寄生し仔虫を産み落とします。犬糸状虫は成虫になると、メスは20cm~30cm、オスは10cm~15cm程度まで成長し犬の体を蝕んでいき、様々な症状を引き起こすのです。
犬フィラリア症の症状
フィラリアが心臓に寄生すると下記のような様々な症状が出てきます。
- 咳が出る
- 呼吸困難
- 腹水(腹部が膨らむ)
- 喀血(血を吐くこと)
- 血尿
- 失神
フィラリア症の症状は、寄生しているフィラリアの数や寄生期間、犬の体の大きさや健康状態によって様々ですが、重度の場合死に至ることもあります。
犬フィラリア症の予防方法
フィラリア症は治療が困難なので予防が大切です。
フィラリア症の予防は1カ月に1回の内服をするだけです。そのほかにも注射のタイプがありますが、当院では簡単におうちで予防ができる錠剤、またはおやつタイプのチュアブルを取り扱っております。獣医師と相談してワンちゃんに合ったお薬を選びましょう。
犬のフィラリア 投薬の方法
体内に入ったフィラリア幼虫を駆除するお薬ですので、体内に入ってからある程度成長した幼虫に対して効果があるため、1カ月毎の投薬が必要となります。
(※例えば5月に飲ませる場合、4月に刺された時に感染して体内に入った幼虫を駆除することになります。)
犬のフィラリア 投薬の期間
地域によって異なりますが、5月頃から11月頃まで月に一回飲ませていただくことになります。(※暖冬の年は12月まで飲ませる場合があります。)先月に刺された蚊の幼虫の駆除をすることになるので、蚊がいなくなってからの11月の投薬が最も重要と言えます。忘れてしまうとすべての投薬が無駄になってしまうこともあるので注意してください。
中には、「フィラリアの薬は近所の方にもらったから大丈夫」と言う飼い主様もおられました。ワンちゃんのライフスタイルや健康状態、体重によってお薬の種類や量が違います。自己流で判断せずに、必ず獣医師の指示に従って飲ませましょう。
投薬前の血液検査をおすすめしています
フィラリアに感染している状態で予防薬を飲ませると薬の作用で死んだ虫が犬の血管に詰まり、突然死することもあります。簡単な検査で判別できますので、予防薬を投与する前に、毎年血液検査を受けることをおすすめします。
犬フィラリア症は室内で飼育していても予防が必要
フィラリア症は蚊に刺されることによって感染する病気です。わたしたちが家に居ても蚊に刺されるのと同じように、室内飼いだからと言って安心はできません。たった1匹の蚊から数匹のフィラリアが感染することもあるのです。命に関わる病気ですのでしっかりと予防しましょう!
予防をすれば、フィラリア症は100%防ぐことができます!
犬のフィラリアは予防の普及により昔と比べて感染率が減少しました。しかし、この地域ではまだまだフィラリアに感染しているワンちゃんが多いのが現状です。犬のフィラリア症は、今や100%予防できる病気なのです。もしフィラリア症にかかったとしたら、それは飼い主様の責任でもあるのです。
「年のせいか・・」と思わずに、何か異変に気付いたら一度診察にいらしてください。知らないうちに感染していたということもあり得ます。
もし、ご家族にフィラリア予防を知らない方がみえたら教えてあげてください。大切な家族の一員を守るために、愛情を持ってしっかりと予防をしてあげましょう!